非常識天然奇行浪漫譚

日本語したため屋の備忘録です

おらおらでひとりいぐも

先の芥川賞受賞作の一つ

「おらおらでひとりいぐも」が

受賞24日で50万部を突破したのは

個人的に驚いている。

www.kawade.co.jp

 

先にこちらが刊行されていたので

書店でパラリとめくってみたんだけども、

単純に東北弁が難解だと思ったし、

面白いけど受け入れられにくいだろうな

と考えていたからだ。

それよりは少し遅れて刊行された

「百年泥」の方が読みやすい。

淡白な文体ながらタイトル通りというか

なんか肚に積もっていくような感じがしたし、

こちらのほうが一般的だ。装丁もかわいい。

www.shinchosha.co.jp

 

というわけで個人的に作風としては

おらおらで・・・のほうが好みなんだども

読みやすさでは百年泥だなと思っている。

しかし東日本大震災以降、

日本の文壇は東北をトレンドに据えたままだ。

 

別に今回受賞した若竹さんなんかが

東北色やそのなかで老いを色濃く打ち出すことに

なんら異論はないけども、ちょっと猫も杓子もが

「東北」

「被災地」

宮沢賢治

といった主題で書きすぎている風潮は好きくない。

 

地震があった当時、

こっち(大阪)では「揺れたな」ぐらいだった。

いろいろな報道がなされた上で

いまだに苦しんでいる人もいると思うけど、

熊本の地震で自分の親親戚も

それなりに被害があったし、

なにより阪神大震災も経験しているから、

地震の何某がまったく

わからないわけではない。

 

日本文学のよろしくないのが、

こういう避けて通れぬ主題を

何度も上塗りするところだ。

あくまで個人的になんだけども、

表現者は明るく

大衆に訴えかけねばならないように思う。

しんどいことを「しんどい」

というのは別に普通だし、

叩かれもしない。

 

当事者が明るく書くのは許されていて、

けれども部外者がそれを主題にするとき

ドキュメンタリータッチにしか

表現できないとしたら救いがなさすぎる。

 

地震だけでなく、

何かつらい経験をした人は

そこから抜け出さないといけない

と思うし、

そのときもし傍に小説があって、

足しになるとしたら、

明るく、優しく、笑える、

作品だと思うんだども。